汗ばむ帰り道から一転、雪の朝
最近、徒歩で買い出しに出かけると、帰り道には汗ばむほどの陽気でした。
上着の前を開けながら、「春が近いのだな」と感じていたのです。
ところが今日。
曇り空を見上げながら「久しぶりに雨かしら」と思っていると、宅配便の配達員さんがこう声をかけてくださいました。
「雪になりましたね。お気を付けください。」
え?雪?
外を見ると、たしかに白いものが舞っています。
どうりで寒いわけです。
あたたかくなってきたと思った矢先の、突然の冷え込み。
まさに「三寒四温」という言葉がぴったりだと思いました。
三寒四温とは?春はまっすぐ来ない
三寒四温(さんかんしおん)とは、
寒い日が三日ほど続き、その後あたたかい日が四日ほど続くという、寒暖の周期的な変化を表す言葉です。
日本では、冬の終わりから春先にかけての不安定な気候を表す季節の言葉として使われます。
春は一直線にはやってきません。
暖かくなったと思えば、急に寒くなる。
寒い日が続いたと思えば、汗ばむ日もある。
自然の揺らぎを、これほど端的に言い当てる四字熟語を作った昔の人は、本当に聡明だと感じます。
季節の揺らぎと、環境の揺らぎ
この時期は、人事異動や進級など、環境も揺らぐ季節です。
気候だけでなく、気持ちも落ち着かなくなることがあります。
情緒不安定というのも、一種の揺らぎでしょうか。
若い頃の私は、その揺らぎを受け入れられませんでした。
安定していない自分が不安で、白黒はっきりさせたくてたまりませんでした。
けれど今は、少し違います。
感情もまた、固定されたものではなく、移り変わっていくもの。
揺らぐこと自体が自然なのだと、思えるようになりました。
日本的な「揺らぎ」の美しさ
日本の文化には、どこか曖昧さや揺らぎを楽しむ感覚があるように思います。
パキッとした原色よりも、少しくすんだニュアンスカラー。
はっきりした線よりも、にじみや陰影。
万年筆のインクも、そのひとつです。
インクだまりや濃淡、紙の上で現れるフラッシュ。
均一ではないからこそ、美しい。
揺らぎを排除するのではなく、味わう。
そんな感覚が、私は好きです。
揺らぎながら、春は来る
突然の雪に驚いた一日でしたが、
それでも春は確実に近づいています。
寒い日も、あたたかい日も、
不安定な気持ちも、環境の変化も。
すべては移ろいの途中。
三寒四温を繰り返しながら、季節は進んでいきます。
私もまた、揺らぎの中を歩いているのだなと感じた雪の日でした。

コメント