伝えたいことを短く伝えるのは難しい|ラーメン屋さんで痛感した「言葉」の難しさ

日々のこと

先日、ラーメン屋さんへ行ってきました。

そのお店は、以前私たちが住んでいた家の、なんと目の前にあったラーメン屋さんでした。

以前住んでいた家の前にあったラーメン屋さん

以前の家に住んでいた頃、家の斜め向かいにラーメン屋さんがありました。

その後、私たちは引っ越すことになり、ラーメン屋さんも別の都道府県へ移転されたそうです。

ところが、それからしばらくして、そのラーメン屋さんがまたこちらへ戻ってきて、別の場所で新しくお店を始められたことを、あるきっかけで主人が知りました。

主人は以前からそのラーメン屋さんのことを気にかけていたので、

「またお店を始められたんだ」

と、喜んだ様子でした。

ただ、私たち自身も引っ越していたため、以前のようにお店の前を通ることもありません。

行きたいと思いながらも、なかなか訪れる機会がありませんでした。

それが先日、ようやく主人の念願がかない、そのラーメン屋さんへ行くことができました。

ようやく食べることができたラーメン

お店に到着すると、店員さんは3名。

店主さんと、あとお二人の店員さんがいらっしゃいました。

順番を待って、席に案内され、しばらくしてラーメンが運ばれてきました。

そして、ここで思いがけないことが。

ラーメンをテーブルまで運んできてくださったのが、偶然にも店主さんだったのです。

「これは、今しかない」

と思いました。

せっかくここまで来たのだから、以前のお店のことを知っているということを伝えたい。

しかも、新聞で店主さんのインタビュー記事も(主人が)拝見していたので、そのことも伝えたい。

ただ、店主さんは当然お忙しい。

そこで私は、できるだけ手短に伝えようとしました。

そして口から出たのが、

「初めのお店から知っていて、新聞も拝見しました」

という言葉でした。

すると、店主さん。

なぜか爆笑。

……え?

私は一瞬、何がそんなに面白かったのか分かりませんでした。

こちらとしては、長年のお店のことを知っていますよ、応援しています、という気持ちを込めて伝えたつもりです。

しかし、実際に口から出た言葉は、どうやら私が思っていたものとは少し違って聞こえたようです。

「伝えたいこと」と「伝わったこと」は違う

その後、ラーメンはおいしくいただきました。

そして、満足してお店を後にしました。

……が。

帰り道から、私は後悔の嵐。

私が本当に伝えたかったのは、

「以前のお店の前に住んでいて、ずっとお店のことを知っていました。移転されたことも知っていて、新聞に掲載された記事も拝見しました。今回またお店を始められたと知って、主人がずっと行きたいと言っていたので、今日ようやく来られてうれしいです」

……というようなことだったのです。

もちろん、こんな長々と話す必要はありません。

店主さんは仕事中でとても忙しい。だからこそ、短い言葉で、

「以前のお店の前に住んでいて、新聞も拝見しました」

と、伝えればよかった。

たったそれだけのことなのです。

なのに、いざ本人を目の前にすると、伝えたいことが頭の中で渋滞してしまいました。

そして、なんとか短くしようとして、言葉を削りすぎた結果、

「初めのお店から知っていて、新聞も拝見しました」

という、なんとも不思議な一文になってしまったのです。

短く話すことと、分かりやすく話すこと

今回のことで、改めて感じたことがあります。

それは、「短く話すこと」と「分かりやすく話すこと」は、同じではないということです。

余計なことを言わないように。

相手の時間を取らないように。

簡潔に伝えよう。

そう思うほど、必要な情報まで削ってしまうことがあります。

一方で、頭の中にあることを全部話せばいいわけでもありません。

長く話せば、それだけ相手に伝わるというものでもありません。

大切なのは、

「自分は何を伝えたいのか」

をまず自分自身が整理することなのだと思います。

今回なら、

「以前のお店の前に住んでいた」

ということが、私にとって一番伝えたかったことでした。

そこに「新聞も拝見しました」という情報を加えれば、それで十分だったのです。

言葉にする前に、頭の中を整理する

文章を書くときなら、書いてみて、

「ここは違うな」

と思ったら消すことができます。

順番を入れ替えることもできます。

何度でも書き直せます。

でも、会話はそうはいきません。

一度口から出てしまった言葉は、取り消すことができません。

特に、今回のように「今、伝えたい!」と思った瞬間は、頭の中でいろいろなことを考えすぎてしまいます。

伝えたい。

でも忙しそう。

短くしなければ。

でも、このことも伝えたい。

そんなことを一瞬のうちに考えているうちに、言葉がうまくまとまらなくなってしまったのでしょう。

だからこそ、普段から「自分は何を伝えたいのか」を整理する習慣が大切なのかもしれません。

「過不足なく伝える」を目指したい

今回のラーメン屋さんでの出来事は、ほんの数秒の会話でした。

しかも、店主さんにとっては、もしかすると何気ない一場面だったかもしれません。

それなのに私は、店を後にしてから

「ああ言えばよかった」

と、しばらく考えていました。

とはいえ、今となっては、それも含めて思い出です。

店主さんが笑ってくださったことで、少なくとも印象には残ったかもしれません。

そして何より、ラーメンはとてもおいしかったです。

念願かなって食べに行けた主人も、満足できました。

今回の一件で、私は「話す」ということについて、少し考えさせられました。

伝えたいことを全部詰め込むのではなく、かといって削りすぎるのでもなく。

自分が伝えたいことを、相手に分かる形で、過不足なく伝える。

簡単そうで、実はとても難しいことです。

これからは、何かを伝えるとき、

「私は、本当は何を伝えたいんだろう?」

と、一度頭の中で整理してから言葉にしてみたいと思います。

……まあ、次にあの店主さんに会ったら、

「この前は、変なこと言ってすみません」

と、また余計なことを言ってしまいそうですが。

言葉って、本当に難しいものですね。

コメント