夏になると、あちこちでお祭りが開かれます。
実は私は、お祭りがそれほど好きではありません。
人ごみは得意ではありませんし、屋台で「あれも食べたい」「これも買いたい」と思うこともほとんどありません。
お祭りがあると聞いても、「行きたい!」という気持ちには、あまりならないのです。
それでも、子どもたちを夏のお祭りに連れて行きたいとは思います。
自分自身が楽しめるかどうかではなく、子どもたちに体験してほしいからです。
普段とは違う提灯の灯り、屋台から漂う香り、太鼓や音楽の音。
たくさんの人が集まり、いつもの町が少しだけ特別な場所に変わる空気。
そんな非日常を感じられる機会は、それほど多くありません。
きっと子どもたちにとっては、ワクワクやドキドキが詰まった時間になるのだろうと思います。
ということで、先日、家族でお祭りへ出かけてきました。
子どもたちは迷うことなく、二人ともかき氷を選びました。
色鮮やかなブルーハワイのシロップがかかったかき氷を、嬉しそうに頬張る姿を見ていると、それだけで連れてきてよかったと思えました。
一方で私はというと、心の中で「屋台のかき氷って、そんなに原価は高くないのに値段は張るな。」と思ってしまっています。
けれど、その考えもすぐに打ち消されます。
子どもたちが食べているのは、ただのかき氷ではありません。
お祭りの空気感を全部をひっくるめて食べるかき氷。
家で同じシロップをかけて食べても、きっと同じ味にはならないでしょう。
思い出には、場所や空気や時間も一緒に刻まれていくのだと思います。
さて、これまでも、お祭りへ行くことは何度かありました。
でも親である私たちは、ほとんど何も買わず、子どもたちが楽しむ様子を見守るだけでした。
ところが今回は、主人が「地ビールでも飲もうか」と。
正直なところ、「結構いい値段だなあ」と思いました。
それでも思い切って一杯買い、夫婦で味わうことにしました。
ちょうどその頃、会場では阿波踊りが始まりました。
軽快なお囃子が聞こえ、踊り手の皆さんが笑顔で踊る姿を眺めながら飲む地ビール。
不思議なことに、「高いな」と思っていた気持ちは、いつの間にかどこかへ消えていました。
その場だからこそ味わえる時間がありました。
お祭りという空間そのものを楽しんでいたのです。
私は普段、買い物をするときも「コストパフォーマンス」を考えることが多いです。
だから、「この値段に見合うかな」と考えてしまう癖があります。
でも、思い出や経験には、数字だけでは測れない価値があるのかもしれません。
子どもたちが大人になったとき、お祭りで食べたかき氷や、にぎやかな屋台、太鼓の音、家族で歩いた夜道を覚えていてくれたら嬉しいなと思います。
そして、私自身も「子どものため」と思って出かけたお祭りでしたが、気が付けば私も夏の夜を楽しんでいました。
大人になると、自分の好き嫌いや損得だけで物事を選びがちになります。
けれど、子どもがいるからこそ足を運ぶ場所があり、子どもがいるからこそ気付ける楽しさもあります。
自分一人ならきっと行かなかった夏のお祭り。
でも今年も家族で出かけたことで、また一つ、我が家の夏の思い出が増えました。
子どもたちが大きくなったとき、この日のことを覚えているかどうかは分かりません。
それでも、そんな小さな思い出の積み重ねが、子どもたちの心のどこかで「楽しかった夏」として残ってくれたらいいなと思いました。

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