振り返れば、私はいつも「楽な方」を選んで生きてきました。
二つの道があって、片方が少ししんどそうで、もう片方が楽そうなら、迷わず楽な方へ向かう。
そんな選択を、子どもの頃から繰り返してきたように思います。
人付き合いにも苦手意識がありました。
休日は家で過ごすことが多く、一人の時間が好きでした。
誰かと積極的に関わるよりも、一人で静かに過ごす方が気楽でした。
最近、そんな私とはまったく正反対の考え方をする方に出会いました。
「いつかどうせ絶対に死んでしまうんだから、しんどい方を選んでおく。」
最初に聞いたときは、少し驚きました。
けれど、その言葉には、不思議な説得力がありました。
しんどいことが好きだからではない。
人生には終わりがあるからこそ、やってみたいことや挑戦できることは、どんどん経験しておこう。
そんな意味が込められているように感じたのです。
私は学生時代も、省エネで生きていました。
部活動は最初だけ入部して、途中で辞めることが多くありました。
学校行事でも、前に出るタイプではありません。
できるだけ目立たず、できるだけ無難に過ごしていました。
当時の私には、それが精一杯だったのでしょう。
でも、今になって振り返ると、少し思うことがあります。
「あの頃、私は何をして過ごしていたんだろう。」
あのとき夢中になっていたことが思い浮かばないのです。
一方で、「しんどい方」を選んできた人には、その年代ごとの思い出があるのだと思います。
学生時代は部活動に打ち込み、社会人になれば新しい挑戦をし、趣味や活動にも全力を注ぐ。
もちろん、大変だったことも失敗も悔しい思いもあったでしょう。
その年代だからこそ経験できたこと。
そのときしか味わえなかった感情。
少ししんどくても、途中で投げ出さずにやり切った経験。
それらは時間が経つほど、人生の宝物になっていくのだと感じました。
私は、そういう青春を送ってきませんでした。
失敗してもいい。
回り道をしてもいい。
少ししんどいと感じる挑戦でも、「やってよかった」と思える日が、きっと来るはずなんだろうなと今になって思います。
その積み重ねが、大人になったとき、自分を支えてくれる思い出になるんだろうなとも。
私はもう学生ではありませんし、「青春」と呼べる時期は過ぎています。
だからといって、挑戦できなくなるわけではありません。
「ちょっと面倒だな。」
「少し勇気がいるな。」
そんな気持ちになる方を、これからは少しだけ選んでみたいと思うようになりました。
楽な方を選ぶ人生を選択したことにより守られてきた自分もいます。
でも、いつか人生を振り返ったとき、「あれをやっておけばよかった」と後悔するより、「あのとき挑戦してよかった」と笑える方がいいかもしれない。
そう思わせてくれた、ある人の言葉でした。

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